地域における公益的な取組とは

●なぜ取り組むことが必要なのか?

 平成28年度の社会福祉法改正により、第24条第2項に全ての社会福祉法人の責務として「地域における公益的な取組」の実施が明記されました。
 これは、地域共生社会に向けて、制度や市場原理で満たされないニーズについても率先して対応するという、社会福祉法人の本来の役割を明確にするためのものです。
 また、社会福祉法人が地域のニーズに取り組む姿勢を示していくことは、地域においての信頼性を向上させ、存在価値を高めることにもつながっていきます。

●地域における公益的な取組とは

※以下の3つの要件の全てを満たす必要があります。
1社会福祉事業又は公益事業を行うに当たって提供される福祉サービスであること
  • 原則として、社会福祉を目的とする取組を指します。
  • 行事の開催や環境美化活動等の直接的に社会福祉に関連しない事業についても、取組の効果が法人内部に留まらず、地域にも及ぶ場合は該当します。
  • 関係機関とのネットワークの構築に向けた取組等、福祉サービスの充実を図るための環境整備に資する取組も該当します。
2日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者に対する福祉サービスであること
  • 支援を必要とする者とは、原則として利用者以外を指します。
  • 将来的に支援を必要とする可能性の高い者に対する予防的支援、ボランティアの育成等の間接的支援も含みます。
3無料又は低額な料金で提供される福祉サービスであること
  • 全額公費負担である場合は該当しません。ただし、法人の資産等を活用した付加的サービスであれば該当します。

●複数法人で取り組むことは必要なの?

 社会福祉法による「地域における公益的な取組」の責務は、複数法人が連携して取り組むことまで規定されていません。
 しかし、地域共生社会の推進にあたり、制度の狭間や複合的な課題に対応していくためには、高齢者・障害者・児童等の分野を問わず相談・支援していくことや、地域全体で支えることが必要となっています。
 また、単独の法人で対応できない地域のニーズに対して、複数の法人が連携して応えていくことが、社会福祉法人の存在価値や地域からの信頼を高めていくことにつながります。
 さらに、複数法人が連携してさまざまな地域ニーズに取り組むことで、社会福祉法人の取組の「見える化」を高めていき、地域福祉の推進に貢献できます。
 このように、複数法人での「地域における公益的な取組」は、各法人の持つ専門性や資源を活用し、地域のニーズに効果的に応えるために必要な手段と言えます。